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パーキンソン病とは?

日本神経学会認定 神経内科専門医・指導医

治療:パーキンソン病の治療ガイドライン2011

疫学
 ・1817年にロンドンのJames Parkinsonにより初めて報告されました.
 ・日本人では,10万人当たり120〜180人の患者さんがおられます.
 ・年間,10万人当たり10.2〜18.4人の方が発病しております.
 ・後発年齢は,55歳〜70歳ですが,20代から幅広い年齢で発症します.
 ・多くは家族歴がありませんが,一部は遺伝性であり家族歴をみとめます.

症状
 ・運動症状前にある症状:便秘,REM睡眠行動障害,気分障害,嗅覚障害
 ・初発症状:手のふるえ(約50%),上肢の使いにくさ(約20%),歩行障害(約30%)
 ・運動症状:安静時振戦,固縮,寡動・無動,姿勢反射障害など
 ・自律神経症状:便秘,低血圧,異常発汗,排尿障害など
 ・精神症状:抑うつ,無感情,興味・快感喪失,認知障害,幻覚,妄想など
 ・姿勢障害:ななめ徴候,腰折れ,首下がり,前かがみなど
 ・その他:痛み,疲労など
 ・合併症:転倒による骨折,誤嚥による肺炎・窒息,尿路感染,血栓塞栓症など

病態機序
 ・レビー小体病:レビー小体が脳内に認められる疾患の総称です.
 ・黒質−線状体におけるドパミン作動性神経の変性・脱落
 ・Braakらの脳幹上行仮説,Dual-hit仮説
 ・環境因子:井戸水,幼少時の農作業,除草剤,殺虫剤,化学薬品など
 ・保護因子:コーヒー,喫煙,非ステロイド系解熱鎮痛剤など
 ・遺伝性パーキンソン病:2014年現在18病型が同定されています.

診断
 ・現時点で特定のバイオマーカーは同定されていません.
 ・嗅覚テスト,複合錯覚などの検査を用いたパーキンソン症候群との鑑別
 ・頭部MRI:明らかな異常がなく,その他の疾患を除外することが重要です.
 ・MIBG心筋シンチグラフィー:交感神経の障害を反映し早期より取込低下
 ・脳血流シンチグラフィー:後頭葉での血流低下
 ・DAT-SPECT:シナプス前神経におけるドパミントランスポーターの減少・左右差
 ・Hoen-Yahr分類:病態によって5段階に分類して評価

治療
 ・基本的には不足したドパミンを補充することが治療の中心となります.
 ・多種類の薬剤があるため,その選択が作用・副作用両面において重要です.
 ・ウェアリングオフ,オンオフ,ジスキネジア,幻覚などの副作用あり.
 ・カフェインの摂取が症状の改善に有効であった報告例あり.
 ・太極拳,自転車こぎ,音楽療法,絵画療法が有用であった報告例あり.
 ・深部脳刺激療法:ウェアリングオフ,ジスキネジアの改善に有効例あり.
 ・デュオドパ:腸管に持続的にL-Dopaを注入する治療.専門施設での入院が必要.
 ・痛み,抑うつなど,運動症状以外に対する治療も重要です.

予後
 ・個々人によって異なりますが,約20年をかけてゆっくりと進行します.
 ・一般に,ふるえが目立つほうが,歩行障害が目立つ方より進行は緩徐です.
 ・一般に,若年発症の方の方が,中年以降で発症した方より進行は緩徐です.
 ・残念ながら,長期経過によって車椅子生活,寝たきりとなることが多いです.

 (注1:パーキンソン病は,条件により難病医療費助成制度の対象になります.)
 (注2:深部脳刺激療法は,広島市では,たかの橋中央病院で行われています.)