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○○町の○○○科クリニック。土井内科神経内科クリニックです。

多発性硬化症・視神経脊髄炎medical info

多発性硬化症 (MS) とは?

中枢神経系 (脳・脊髄・視神経) に脱髄をきたす原因不明の時自己免疫疾患です.様々な神経症状が繰り返し出現することが特徴で,「時間的・空間的多発性」といわれます.

一部の患者さんは二次性進行性といって,明らかな再発がないのに徐々に神経症状が悪化し,脳の委縮も徐々に進行します.

難病医療費助成制度の対象疾患です.

疫学

日本では,10万人当たり5〜10人の患者さんがおられ,女性に多い疾患です.

また,緯度が高いほど罹患率が高くなり,日本では北海道での罹患率が最も高いと報告されています.

後発年齢は30歳前後ですが,18歳未満の発症も見られます.また,60歳以降の発症は稀です.

急性期治療

ステロイド大量静注療法 (IVMP):一般的にはステロイドを1〜2時間かけて,3日間投与する方法です.症状を早急に改善する効果はあるものの,長期的に抑制する効果はありません.

予防療法

インターフェロン:週にに1回皮下注射するアボネックス (IFNβ1a),隔日にに1回投与するベタフェロン (IFNβ1b)の2種類があります.共に安全性が高く,第1選択薬として使用されます.

ジメチルフマル酸 (テクフィデラ):1日2回内服する薬です.副作用も導入初期の消化器症状に注意しますが,比較的安全な薬で,第1選択薬として使用されます.

グラチマラー酢酸塩 (コパキソン):毎日皮下注射する治療です.妊娠中でも安全性の面から使用されます.

フィングリモド (イムセラ・ジレニア):1日1回内服する薬です.導入時には徐脈のリスクがありますので入院して行います.血液中のリンパ球が減少しますので,定期的なモニタリングが必要です.稀に進行性白質脳症を起こすことがあるので注意が必要です.

シポニモド (メーゼント):1日1回内服するお薬です.2次性進行性のみに保険適応があります.フィングリモドと同様の副作用があります.CYP2C9の遺伝子型により投与量が異なります.

オファツムマブ (ケシンプタ):B細胞に対する抗CD19抗体.月に1回皮下注射を行います。幅広いMS患者さんに対応可能です.当院では投与を行っておりません.

ナタリツマブ (タイサブリ):重症の方に使用される点滴治療です.進行性白質脳症のリスクがありますので,抗JCV抗体の測定などを行い,事前にリスクを把握する事が重要です.当院では投与を行っておりません.

視神経脊髄炎関連疾患 NMOSD) とは?

主に視神経および脊髄に繰り返し炎症を起こす疾患です.
以前はMSの一亜型(OSMS)と考えられ,アジアで多いと考えられていましたが,抗AQP4抗体の発見により,現在はMSとは違う疾患であると判明しております.
*抗AQP4抗体の検査(CBA法)は,現在九州大学,東北大学で行っております.
*抗AQP4抗体の検査(ELISA法)は,保険適用となっております.

しゃっくり,繰り返す嘔吐,ナルコレプシー,急性呼吸不全等で発症することもあります.

難病医療費助成制度の対象疾患です.

抗MOG抗体関連疾患とは?

MSやNMOSDと異なり,抗MOG抗体が陽性となる疾患群が明らかとなりました.

小児の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)で陽性となることが多く,成人では30歳代に多く発症します.

視神経や脊髄,特に円錐部の病変が多いものの,脳髄膜炎など多彩な症状で発症します.

予後は魏核的良好で,急性期にはステロイド療法が奏功します.

疫学

MSは,日本では10万人当たり2〜4人の患者さんがおられ,圧倒的に女性に多い疾患です.

後発年齢は30歳台後半から40歳台前半で,60歳以降に発症する方も少なからず見られます.また,小児発症も稀ではありません.

急性期治療

ステロイド大量静注療法 (IVMP):一般的に1日1〜2時間,3日間続けて点滴します.

血液浄化療法:血漿交換,あるいは血漿吸着療法が行われます.

視野障害などの後遺症を減らすためにも,積極的な治療が必要です
ことが重要です.

予防療法

ステロイド:長期にわたり少量傾向投与を行いますが,副作用の問題があります.

免疫抑制剤 (保険適応なし):アザチオプリン,タクロリムスなどを使用します.

エクリズマブ (ソリリス):血液中の補体 (C5) を不活化する治療法で,維持期には2週間に1回点滴を行います.当院では投与を行っておりません.

サトラリズマブ (エンスプリング):抗IL-6レセプター抗体.4週間に1回の皮下投与を行います.当院では投与を行っておりません.

イネビリズマブ (ユプリズナ):抗CD19抗体.維持期には6か月に1回の点滴静注を行います.当院では投与を行っておりません.


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