多発性硬化症とは?
日本神経学会認定 神経内科専門医・指導医
多発性硬化症ガイドライン2010 付加情報編集委員
診断:McDonald診断基準2017,Wingerchuks診断基準など
多発性硬化症の治療ガイドライン2017
多発性硬化症(MS)とは?
・中枢神経系(脳,脊髄,視神経)に脱髄をきたす原因不明の自己免疫疾患です.
・欧米では比較的一般的な病気で,緯度が高いほど罹患率が増加します.
・日本では10万人当たり3-4人の患者さんがおられ,女性に多い疾患です.
・様々な神経症状が,時間をおいて繰り返し出現することが特徴です.
・一部の患者さんは二次性進行型と言い,再発が無いのに脳の萎縮が進みます.
・MS自体の治療だけではなく,痛みやしびれ,麻痺などに対する治療も重要です.
MSの急性期治療
・ステロイド大量静注療法:一般に1日1,2時間,3日間続けて点滴します.
・症状を早急に改善する効果はあるも,長期的に抑制する効果はありません.
MSの予防療法
・再発を抑えるだけでなく,二次性進行性への進展を抑制することも重要です.
・インターフェロン(アボネックス,ベタフェロン):週に1回,あるいは隔日の注射.
・グラチラマー酢酸塩(コパキソン):妊娠中にも比較的安全に使用可能です.
・フマル酸(テクフィデラ):毎日2回の内服.副作用も少ない利点あり.
・フィングリモド(イムセラ,ジレニア):毎日1回の内服.導入時は入院が必要です.
・シポニモド(メーゼント):毎日1回の内服.二次性進行性のみ適応.
・オファツムマブ(ケシンプタ):毎月1回の皮下投与.幅広い患者に対して治療選択枝.
・ナタリツマブ(タイサブリ):重症の方を対象にした点滴治療.抗JCV抗体の確認.
・その他,アレンツツマブなど,新たな治療薬が海外で使用されています.
視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMOSD)とは?
・主に視神経および脊髄に繰り返し炎症を起こす疾患です.
・以前はMSの一亜型(OSMS)と考えられ,アジアで多いと考えられていました.
・抗AQP4抗体の発見により,現在はMSとは違う疾患であると判明しております.
・抗AQP4抗体の検査(CBA法)は,現在九州大学,東北大学で行っております.
・抗AQP4抗体の検査(ELISA法)は,保険適用となっております.
・しゃっくり,ナルコレプシー,急性呼吸不全などで発症することもあります.
NMOSDの急性期治療
・ステロイド大量静注療法:一般に1日1〜2時間,3日間続けて点滴します.
・血液浄化療法:血漿交換,あるいは血漿吸着療法
・視野障害などの後遺症を減らすためにも,積極的な治療が必要です.
NMOSDの予防療法
・ステロイド経口療法:長期にわたり少量傾向投与を行います.
・免疫抑制剤(保険適応なし):アザチオプリン,タクロリムスなど.
・エクリツマブ(ソリリス):抗補体C5抗体.維持期は2週1回の点滴静注.
・サトラリズマブ(エンスプリング):抗IL-6レセプター抗体.4週1回の皮下投与.
・イネビリズマブ(ユプリズナ):抗CD19抗体.維持期は6か月に1回点滴静注.
・その他(保険適応なし):トシリツマブ,リツキシマブなど.
(注1:イムセラ,ジレニア,タイサブリは,入院の上導入を行っております.使用可能施設:広島赤十字・原爆病院,広島大学病院,広島市民病院など)
(注2:タイサブリ,ソリリス,エンスプリング,ユブリズナの投与は当院では行っておりません.)
(注3:多発性硬化症・視神経脊髄炎は,難病医療費助成制度の対象です.)
抗MOG抗体関連疾患とは?
・MSやNMOSDとは異なり,抗MOG抗体が陽性となる疾患群が明らかになりました.
・小児のADEMで陽性となることが多く,成人では30代に多く発症します.
・視神経や脊髄(特に円錐部)の病変が多いものの,脳髄膜炎としても発症します.
・予後は比較的良く,急性期にはステロイド療法が奏功します.
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