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○○町の○○○科クリニック。土井内科神経内科クリニックです。

片頭痛

片頭痛

女性に多い頭痛で,幼児から高齢者まで,幅広い年代の方にみとめられます.最も多くみられるのは30歳代のころです,50歳を超えると軽減することが多い頭痛です.

母親から娘へ引き継がれる傾向があります.市販の鎮痛薬で改善する軽度の方から,薬の効果がない重症の方までおられます.

様々な共存症(抑うつ,パニック障害,めまい,脳梗塞など)が知られており,一生にわたる問題(life disease)としてとらえ,慢性化させないことが重要です.

慢性片頭痛

一部の片頭痛の方は1ヶ月の半分以上の日に頭痛がありひどいと,ほぼ毎日頭痛が続くようになります.薬の内服が多い,頭痛発作が多い,ストレスを抱えている方は,慢性化のリスクが高まります.
 
典型的な片頭痛発作のみならず,緊張型頭痛様の頭痛も混在します.
・なによりも慢性化させない,すなわち,ストレスの改善や共存症も改善させることが重要になります.

小児の片頭痛

小児の片頭痛は,小学校低学年では男児に多く,女児は初経が始まる頃から増加します.頭痛の持続時間が短い,両側の頭痛が多いなど,大人と異なる傾向があります.

片頭痛随伴症候群といって,幼少期に,原因不明の腹痛,めまい,嘔吐など繰り返すことがあります.

不登校の原因となるため,精神的な問題との鑑別が困難な場合が多いですが,頭が痛くて学校に行けなくても,すぐに精神的な問題として片付けないでください.

疫学

日本では,15才以上の8.4%,すなわち840万人の患者さんが存在すると推定され,男性(3.6%)と比較し,女性(12.9%)に多い疾患です.

最も多いのは女性では30歳代で,程度の差はあれど5人に1人が片頭痛です.一方で,70歳以上の方でも片頭痛の方はおられます.

前兆のある片頭痛(2.6%)よりも,前兆のない片頭痛(5.8%)発作が多いです.
また,50歳前後から,片頭痛発作は無いにも関わらず,片頭痛の視覚性前兆 (閃輝暗点) のみ出現する場合もあります.

症状

誘因

ストレス,月経,天気 (気圧の低下,気温や湿度の変化など),睡眠不足・過多,におい,空腹,運動など

予兆

一側の肩こり,生あくび,過食,疲労感,抑うつ,集中力低下,光過敏,におい過敏,音過敏など

前兆

ギザギザした画車状の光が広がるなど,頭痛に先行して出現,約5分から20分続くことが多い.

症状

一側の頭痛 (60%)./両側の頭痛 (40%),拍動性頭痛 (50%)/非拍動性頭痛 (50%)
*片頭痛と名付けられていますが,必ずしも片側のみに頭痛があるわけではありません!

随伴症状

嘔気/嘔吐(67%),動くと増悪 (84%),光過敏 (暗い部屋を好む; 41%),音過敏 (静かな場所を好む; 59%),におい過敏(香水など避けたい; 35%)

急性期治療

市販薬

簡便で効果も高い事からもよく使用されます.ただし,カフェインが含有された市販薬は,薬物の使用過多による頭痛につながることがありますので,その防止のため適切な内服が必要です.

解熱鎮痛薬

強さや持続時間によって,様々な種類の鎮痛薬を使い分けます.場合によって,トリプタン製剤との併用を行います.胃や腎臓への負担がかかるため,適切な内服が必要です.

トリプタン製剤

5種類あるトリプタンを,それぞれの頭痛に合わせて使い分けます.効果が高く非常によく使用されますが,薬物の使用過多による頭痛につながりやすいので,多くても1ヶ月に10日以内の使用を指導しております.トリプタン製剤の有効率は,クリニカルトライアルの結果から,60-65% と報告されています.

イミグラン在宅自己注射

嘔吐が激し区内服が困難な場合や,内服薬や点鼻薬で効果が乏しい場合,イミグランの自己注射を行います.

抗CGRP拮抗薬

海外では新たな片頭痛急性期治療薬として,2種類の抗CGRP拮抗薬が使用されています.

抗5-HT1F作動薬

海外では新たな片頭痛急性期治療薬として,1種類の抗5-HT1F薬が使用されています.

片頭痛重積発作

時に片頭痛発作が3日を超えて持続することがあり,そのような場合,イミグラン皮下注,ステロイド・マグネシウム・制吐剤の点滴など,積極的な治療を行います.

妊娠・授乳中の対策

妊娠・授乳中時の片頭痛発作には,薬剤の安全性などを考慮して,適切な内服薬の選択や使用方法を指導いたします.

食事・生活指導

睡眠をとる,こめかみを抑える・冷やす,コーヒー・紅茶(カフェイン)を飲むことなども,片頭痛発作の軽減につながる場合があります.

予防療法

現在使用可能な予防薬

ロメリジン,アミトリプチリン,プロプラノロール,バルプロ酸.予防薬の有効性は,過去の論文報告の結果から約40%と報告されています.一般的には,3か月から6か月間から服用し効果を確かめてから漸減していきます.

抗CGRP抗体

新たな治療薬として,海外では4種類の抗CGRP抗体,抗CGRP受容体抗体が使用されています.また,日本では,エムガルティ,アジョビ,アイモビーグの3剤が使用可能です.高額ですが,非常に有効な薬剤です.毎月1回皮下注射にて投与を行います.3割負担の方で,初回投与:約14000〜28000円,2か月目以降:約14000円程度の費用が掛かります.

CGRP拮抗薬

新たな治療薬として,現在臨床治験が進められています.内服薬ですので,注射を行う必要がありません。

海外で使用可能な予防薬

ボトックス,トピラマートなどが使用されますが,日本では保険診療適応外であり,使用できません.

サプリメントなど

マグネシウム,ビタミンB2,コエンザイムQ10,fecerfew,漢方薬などが使用されることがあります.

妊娠・授乳中の対策

妊娠時・授乳中には,薬剤の安全性などを考慮して,適切な内服薬の選択や使用方法を指導いたします.
*低用量ピルは,前兆のある片頭痛には禁忌です!

食事・生活指導

日々の生活指導として,頭痛体操,規則正しい生活・睡眠・食事,適切な運動,片頭痛の誘因を避ける事などが重要です.

予後

片頭痛を根治させる確実な治療法は確立されていませんので,片頭痛発作を起こさないよう,また,悪化させないように,誘引を避けることが重要です.

一般的には,閉経後に頭痛頻度・程度が軽減することが多いですが,加齢とともに寛解 (25-40%),持続 (30-45%),進行 (20-30%) すると報告されています.


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