群発頭痛とは?
日本頭痛学会認定 頭痛専門医・指導医
慢性頭痛の診療ガイドライン2013 編集委員会委員
診断:国際頭痛分類第3版(ICHD-III)
日本頭痛学会・慢性頭痛の診療ガイドライン2013
疫学
・10万人当たり56-401人程度の患者さんがおられます(各国のデータから).
・日本人では,男性は20〜30歳台,女性は10歳台と60歳台が好発年齢です.
・群発期は,Circanual rhythm(季節の変わり目に多い)をみとめる傾向があります.
・頭痛発作は,Circadian rhythm(夜間から早朝に多い)をみとめる傾向があります.
症状
・必ず一側のみの眼窩周囲を中心とする激痛が15分〜3時間続くのが特徴です.
・自律神経症状:流涙,充血,鼻閉,鼻水,眼瞼下垂,顔面の紅潮,耳閉感など
・その他の症状:落ち着きが無い,あるいは興奮した様子など
病態機序
・視床下部にgeneratorとして起源を求める説
・ニューロペプチドなどの変化により,三叉神経と血管との関連に起源を求める説
・内頸動脈の周辺に起源を求める説
・三叉神経の過剰興奮が副交感神経の活性化を起こすとする説
・様々な機序が考えられていますが,まだ明らかになっていません.
診断
・病歴が最も重要であり,国際頭痛分類第3β版に則って診断します.
・MRI:症候性群発頭痛である血管解離,海綿静脈洞周囲病変などの鑑別
・初診では他疾患の除外が最も重要です.
急性期治療
・トリプタン製剤の内服・点鼻・在宅自己注射療法
・イミグラン注射の有効性:約80-90% (論文報告の結果から)
・在宅酸素療法:100%酸素,7L/m,約10-15分吸入
・酸素療法の有効率:約80% (過去の論文報告から)
・4%リドカインスプレー/市販のベンザ鼻炎スプレー(0.5%リドカイン0.5%を含有)
群発期予防療法
・ステロイド:約2週間ステロイドの内服を行います.
・ワソラン:群発期間中の内服が必要です.
・トリプタン眠前内服:発作が予防できた報告例あり.
・その他,リチウム,ラミクタール,バルプロ酸などの報告例あり.
・抗CGRP抗体:海外では2種類の抗CGRP抗体が承認済み.
・ステロイド大量静注療法:群発期短縮した報告例あり.
・大後頭神経ブロック(ステロイド・局所麻酔薬):群発期が短縮した報告例あり.
・麻酔薬による翼口蓋神経節ブロック:症状が軽減できた報告例あり.
・禁酒!禁煙!昼寝はしない!入浴・運動・飛行機を控える!
(注1:下記の治療は,日本では未承認のため自費診療となります.
リチウム,ラミクタール,バルプロ酸,ステロイド大量静注療法,大後頭神経ブロック・翼口蓋神経節ブロック・リドカインスプレー,抗CGRP抗体)
(注2:海外で進行している新たなデバイスを用いた治療法
大後頭神経刺激療法,深部脳刺激療法,翼口蓋神経節刺激療法など)
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